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TRPG幻想コラム

1.エルフ

突然ですが、エルフって知ってますか?

TRPGをプレイしたことがある人なら、一度は聞いたことがあるでしょう。エロゲーのメーカー?いやそうじゃなくて・・・

エルフは人間に近い姿をしていて、優雅ですべからく美しい容姿をしている神秘の生物です。

TRPGに登場する大抵のエルフは、人間と同じ身体を持っていて、耳がちょっと尖っている程度の容姿で表わされます。が、イラストなどに出てくるエルフには翅翼の生えているものもいます。

現実世界の民間伝承などでは、スコットランドに伝わるのが現在TRPGなどで登場する「エルフ」の元になっていると思われます。

ぶっちゃけ「エルフ」っていうのは「妖精」って意味そのままなんで、フェアリーだろうがピクシーだろうがノームだろうがひとくくりにして「エルフ」ってことになりますが、 「種族的特徴」というくくりではエルフとフェアリーなどの妖精は大きくかけ離れているので、TRPGなどでは別種族になります。

妖精であるエルフは、人間と対比して自然界の恩恵をより濃く受け継いだ存在であります。従って世界の知識を人間よりも多く持っていますし、世界の流れに逆らおうとせず、世界と対話します。

エルフの外見

現在知れ渡ってるような美しい容姿をしているのは、スコットランドの伝承に出てくるエルフで、人間くらいの大きさで美しい容姿をしています。

エルフのチャームポイントで有名なのは、木の葉のような形の耳でしょう。でも神話に出てくるエルフにそんな描写はなく、姿は人間と一緒です。おおかた「人間と違う種族」という対比として誰か(トールキンだろうか?)が耳を尖らせたんじゃないかと思います。

日本では、エルフの耳は「尖っている」ではなくて「長い」と表記されることがままあります。日本で一番有名なエルフである「ロードス島戦記」ディードリットの耳が長かったせいだと思われます。もともとD&Dのキャラクターであるわけだからディードリットも本来は尖った程度なんでしょうが、イラストレーターの出渕氏がディフォルメしてしまったのが原因でしょう。以後日本でのエルフは「耳の尖った人」ではなく「耳の長い人」というイメージになってしまいました。耳の長いエルフは、しばしばその耳でイヌやネコのように感情表現をしたりもします。でもロバみたいに先っぽに毛が生えててそこだけ色の違う耳のエルフはちょっと・・・ここまで来ちゃうと別の生き物って感じがしないでもないです。

エルフの外見は、その耳の特徴も含め、世界によってさまざまです。北欧神話では小柄な体格をしていますが、スコットランドの伝承では人間と同じ姿をしていて一目でエルフだとわかりません。

他のワールドを見てみても、様々な容姿のエルフがいます。中つ国やアイルでは、エルフは長身ですが、D&Dでは男性のエルフで平均165cm程度と、人間よりもやや小柄です。「アルシャード」のアルフは「巨人族」って言われてますけど、タッパのでかいアルフは見たことがありません。

その他日本製のシステムのさまざまなワールドにエルフがいますが、大抵は人間よりも小柄です。

エルフの肌は大抵の場合人間よりも色白で、透き通るような肌をしているようです。髪も大抵のエルフは輝く金あるいは銀髪です。ただ、一概にそうとは言いきれません。エルフも人間と同じく、いろんな肌や髪の色をした者がいる世界もあります。

映画「ダンジョン&ドラゴン」(D&Dの邦題)では。色黒で髪の毛もブルネットでウェーブがかかった短髪のエルフが登場しますし、TORGのエルフも浅黒い肌をしています。時には緑色青色の肌をしたエルフなんかも存在するのです。

大抵のエルフは細身あるいは華奢と、スレンダーな体型をしていることが多いようです。体格的には人間よりも多少〜大幅に劣ることが多いので、筋肉がそれほどつかないのでしょう。しかしD&Dではエルフが能力的に人間に劣るような点はひとつたりともないし、特に体型のことに関する記述が無いので、プレートメイルを着た筋骨隆々のエルフがいても不思議ではありません(ちょっと気持ち悪いけど)。

ちなみにわたしのイメージでは、人間よりも長身で細身、金または銀髪で色白、というのが妄想上のエルフ像であったりします。だから中つ国のエルフがわたしのイメージに一番近いんですね。アイルの色黒もアリっちゃアリですが。グラマーボディの女が好きなわたしでも、「エルフの女はやっぱスレンダー系だよなー」と思います。

そしてエルフは、大抵みな顔が美しいのです。美しくないエルフなんていないんです。邪悪な顔つきをしてたり目の下に悪人グマがついてたりするエルフもいますが、基本的には美形なんです。

エルフの身体能力

たいていの世界のエルフは、人間よりも筋力が若干〜大幅に劣っています。「魔法に優れた種族」という特徴のために、PCが選べる種族として能力の平均化をするためなのでしょう。

昔のTRPGでは、その辺の平均化を考えることが少なかったため、優れた種族はどの種族よりも優れていて、劣るところはありません。「Storm Bringer」のメルニボネ人やパン・タン人などがその例ですが、「MERP」のエルフもそんな感じです。唯一筋力が人間よりも若干(ほんとに若干です)劣るくらいで、敏捷性や器用さにおいて人間に劣るところはありません。

しかしながらシステムの垣根を越えるとプレイ自体が破綻してしまいがちになるので、バランスを取るために人間との対比をつけられているのが普通です。成長しにくかったり、体力が極端に低かったり。

その分どの世界でも、エルフは敏捷性にすぐれ風のように迅く動けます。近接戦闘よりも弓が得意なエルフが多く、どの世界でも能力的にそちらの方が向いている場合が多いのです。

エルフの性格

エルフの元になった北欧神話のアルヴ(エルフをゲルマン読みするとこうなる)という種族は、ずる賢いという表現がされています。

北欧神話の世界では、人間というものはあまり登場せず、ほとんどが神様にまつわるエピソードです。どんなに知的だとしてもそれは人間レベルのお話で、神様から見たら変に知恵を巡らせる「ずる賢い」生き物なんでしょう、とか思ってみたり。

スコットランドに渡って美しい容姿を持つようになったエルフですが、どんな性格かっていうのは詳しくわかりません。私的には目が合ったら微笑み返してくるようなおおらかなイメージを妄想してしまいますけど、実際のところケルト系の妖精ですから、案外勇猛なのかもしれませんね。

エルフは自分たちが他の人間型種族よりも優等種であることを自覚しているケースが多く、その結果エルフ至上主義で態度が尊大であるイメージが強いかもしれません。

でも人間よりも秩序に縛られることの無いエルフは、基本的に奔放な性格であると思います。でも人間と一緒にいる時は、よほど心を開かない限りはそういうことにはならないケースが多いですね。「ロードス島戦記」のディードリットなんかはその典型でしょう。

こういったエルフをPCとしてプレイする場合には、今的な表現で言うなら「ツンデレ」っぽいエルフ(笑)が多いんじゃないかと思いますが、人間的で天真爛漫なエルフもアリだと思います。まぁ私的にはキャピキャピっとしているのは人間だけで十分、ってかんじなので、やはりエルフは物腰の落ち着いた雰囲気で不思議系、もしくは威風堂々っていうのが似合うと思ってます。

エルフの文化

エルフは大抵の世界で人間とは違った独自の文化を持っています。大抵森の中に集落をかまえ、そこで生活していますが、主食が山菜だったり、狩りをして獲った動物だったりします。つまりはアウトドア派なんですね。

エルフは人間よりも精霊とのつながりを強く持ち、それによって行使する魔法も人間より優れています。魔法を使えない人間は大勢いますが、魔法を使えないエルフはほとんどいません。(ほんとは「いない」と断言したいところなんですが、「魔法を使えないエルフ」という設定のキャラがいるマンガがあったりするので・・・)

森の守護者であるエルフは、木々や動物たちにとって危険である火を嫌う傾向にあります。だから火を好んで使うドワーフなどの異種族とは仲が悪いことが多いのです。とはいっても明かりをつけるのにランプに火を灯したりぐらいはすると思いますけどね。「火はだめで雷はいいのか?」とツッコミを入れたい気もしますが、そこはそれ。

しかし、エルフには時として素晴らしい腕の鍛冶師がいたりします。そういった者は、森を離れ、街や人里離れた場所で鍛冶に勤しむんじゃないでしょうか。

エルフの創り出すアイテムは、たいてい魔法の力を秘めています。時にはそれが伝説のアイテムとしてどこかに眠っていたりすることもあります。

エルフの歴史には今よりも優れた超文明を持っていたことになっている世界もあります。現在の文明が興る遥か昔にあった超文明とかの話が、エルフの文明だったりすることも少なからずあります。そして、人間や神の起こした戦争やなんかでほとんど滅びてしまい、その文明は遺跡として眠っていたり、天空に浮かんでいたりします。そういった意味では、エルフは遥か昔に栄華を誇った、「古い種族」と言えるでしょう。

独自の文化を持っているが故に、長い時を経てエルフの種族としてのセオリーが確立していることが多く、エルフとして生活する者の個体差というのはそれほど大きくない、と思います。

ではなぜ、冒険にでるエルフはいろんな性格の者がいるんでしょう?それは多分、人間と出会っているからです。短命のためエルフよりも極端に短い期間で変化を望む人間達は、その変化を他人にも及ぼすパワーがあるんでしょう。それがエルフの停滞した時間をも一気に動かしているんじゃないでしょうか。本来好奇心が強い(でないと魔法を覚えようなんて思わないでしょ)エルフは、そういった人間達からの影響を受け、少ない時間で「成長」しているんです。

エルフと魔法

エルフといえば魔法、というぐらいエルフと魔法は切っても切れない関係にあります。

世界との関わりが人間よりも濃いエルフは、たいていの世界で人間よりも魔法を使う能力に長けています。

その反面、肉体的に人間よりも極端に弱いエルフが多いですが、本来そんなことはないはずです。

個体数が人間に比べて大幅に少ないエルフが生き残っているのは、剣を持ち、魔法を駆使して戦うことで人間達を退け、恐れられている側面があるからだとわたしは思っています。

たとえ魔法の力があっても、弓を引くための膂力がなければ狩りもできないし、森を歩き回るための体力がないと、村にたどり着く前に遭難してしまいます。本来森の種族であるエルフが、人間に身体能力で劣るということは無いと思うのですが、たいていのシステムでは、魔法が得意だから肉体は弱い、とされているようです。

とまぁそれは置いておいて、エルフの魔法の力は人間のそれよりも優れており、一人の人間の魔法使いが何十年もかけておじいさんになってやっと完成する研究の技術なんかは、エルフから見たらほんの一握りの知識でしかなかったりします。それ故に魔法使いは、さらなる真理を求めるために寿命を捨てて長い時を生きようとするのではないでしょうか?

魔法の極意とは魔法を行使することではなく、使わずにどう知恵をめぐらせるかであるということは、かのガンダルフもおっしゃられていることです。その真理に達するまでに人間は魔法を求めるのですが、そういった人間に限って途中で危ない道に足を踏み入れてしまうものです。そういった人間達を諭すのも、彼らよりも多くの真理を知るエルフの役目、と世界は言っているのかもしれませんね。

エルフの信仰

フォーセリアでは、エルフは神に仕えることができません。これは「信仰心がない」と判断されがちですが、そうではないんじゃないでしょうか?

大抵の神話では、自然界に存在するものは、全て神が創ったものであるとされています。自然界全てに神は宿っており、その自然界の力を人間よりも効率良く使え、より高い知性を持つエルフに限ってそんなことはありえません。ではなぜエルフは神に仕えることができないんでしょう?

多分エルフは、自然界の精霊達とそれを統べる精霊の王たちが、僧侶達の崇める神と同格の存在だと思っているのではないでしょうか。高い知性を持つエルフがそう思っているということは、すなわちそれがその世界の真理であるともいえます。もしくは、自然界の精霊達=神であって、それと対話できるエルフたちは、彼らを崇める対象ではなく、力を貸してくれる理解者・協力者と思っているのかもしれませんね。

まぁフォーセリアのエルフが案外特殊なのかもしれません。ウィザードリィのエルフは人間よりも信仰心(PIETY)が高い種族で僧侶になるのに適していますし、TORGのエルフはエルミイルという神に仕える者もいます。

ヴァナ・ディールのエルフ型種族エルヴァーンは、彼らが中心となる国家サンドリアで大々的に暁の女神を信仰しており、エルヴァーンが中心となって組織される神殿騎士団があったり、大聖堂まで建立していますし、むしろ人間型種族のヒュームの方が信仰心が無いように感じられます。まぁヴァナ・ディールの場合は種族的に他種族と対等の立場にいますし、国家的な特徴で魔法・技術・信仰という対比をつけるためなんでしょう。実際NPCの中では白魔道士やナイトはエルヴァーンが圧倒的に多いのです。

エルフの信仰の方向性は、人間のそれとはやはり違うことの方が多いのです。いわゆる神への信仰というものではなく、自然崇拝に近いものの方が多いようです。

エルフの社会的立場

エルフは人間と比べて思考パターンのちょっと異なる種族です。人間よりも利己的でなく、自然や世界のことを第一に考える傾向があることが多いのです。

エルフなどの異種族は、人間と比べて非常に個体数が少ないため、同族同士で寄り添う傾向にあります。そのため、人間から見たら閉鎖的で何を考えてるか解らない種族と取られがちになります。

大抵そういう概念は畏怖となり、エルフに対してけげんな態度をとる、という結果になります。エルフ達は、そういう態度をとる人間達とは相いれずにそのまま森に篭ってしまうのです。

だいたいの世界では、エルフは至高の種族で、尊敬されつつも畏怖される存在ではあります。が、ハイデルランドでは、フルキフェル(人間以外の種族)はすべて「人外」とひとくくりにされ、迫害の対象になっており、エルフもその例に漏れません。エステルランド領内にあった、エルフの最大の居留地であるメオティアの森は、そういったエルフへの憎悪や畏怖などが原因で焼き払われ、その作戦を指揮したゲオルグ=シュローダーは英雄として祀られました。

たいていの世界では、人間にとってのエルフは「自分たちとは違う世界の住人」ととられることが多いようです。

エルフをロールプレイする

エルフは人間達他種族と関わりを持たずに閉鎖的な生活をするというのが多いようです。でもPCでエルフの冒険者をプレイできるということは、少なからず冒険するエルフがいるってことですよね。では本来閉鎖的なエルフが、なぜ冒険するのでしょう?

答えは簡単。普通のエルフじゃないんですよ。だからエルフが冒険をするためには、人間よりも明確な理由が必要だと思っています。

エルフの森の文化・風習を否定したり、人間に出会って興味がわいたり、人間の綴った本などを読んで人間の文化に興味がわいたり、とまぁ、理由は様々あります。

とはいえ、根幹に流れる種族の血というのは否定できませんから、自分がエルフであり、他の人たちは自分と違う種族だということを認識しているべきでしょう。たいてい周りにいるのは人間ですから、人間とエルフにどんな違いがあるのか、を強調する発言(でたらめでもいいんです。それっぽければ)をする、などすれば、他のプレイヤーも自分がエルフであると感じてくれるんじゃないでしょうか?

エルフに限らず、人間と違った種族を選ぶということは、「人間と違ったことをするキャラクターを演じる」ということだと思います。文化・風習の違う種族を選んだのならなおさらのこと。性能だけで選ぶなんてことしてませんよね?しているという方がいたら考え直してみてください。

エルフは空想上の生き物なので、個人の持つエルフ観は人それぞれです。ただひとつ「人間とは違うところがある」という点は、みなさん共通だと思います。自分の中のエルフはどういうところが人間と違うのか?ということを前面に押し出してプレイすれば、いろんなカタチでいろんなエルフが見る事ができるんじゃないでしょうか。

ワールド解説

・中つ国…「指輪物語」のワールド。「ミドルアース」とも言う。

・アイル…「TORG」のレルム(ワールド)のひとつで、ファンタジー系のレルム。

・フォーセリア…「ソードワールドRPG」「ロードス島戦記」のワールド。

・ヴァナ・ディール…「ファイナルファンタジーXI」のワールド。

・ハイデルランド…「Blade of Arcana」のワールド。

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