以前、たまに友人から一緒にプレイしたPCの批判などを聞いたことがあった。
TOKYO N◎VA-Rのキャストなのだが、「ボディガードになりたての16歳の少女なのに、達成値の最大値が31を超えるのはイメージに合ってない」とか、「“ティルヴィング”魔器が《腹心》で、情報収集から戦闘までなんでも高達成値なのはやりすぎ」などである。
批判をしていた友人は、このことについて結構アツく語っていたのだが、わたしにしてみりゃ「そうかもしれんが、言うほどのもんじゃなかろう?」という感じだったと記憶している。
TOKYO N◎VAというシステムは、第3版のRevolution以降「キャラクターではなくプレイヤーに経験値が入る」というシステムになっており、それは現在の「F.E.A.R.系」と呼ばれるゲームシステム群にすべからく反映されている。
経験値を得たプレイヤーは、得た経験値を自分の持ちキャラならどのキャラクターに使ってもよいので、まだ一度もプレイに参加していない新規のキャラクターに経験値をつぎ込んで高経験値キャラとして初登場させるのもOKなわけだ。そして使用した経験値の用途は、プレイヤーの自由である。
そういうゲームシステムにおいて、「強すぎる」とか「やりすぎ」と他人を批判をすることはナンセンスだ。
「若年による経験不足」を表現するためのルールはN◎VAにはない。したがって新米のキャラクターだからといって、低い経験値で作らなければならないという道理はないし、経験のある設定のキャラクターだからといって高経験値で作らなければならないという制約もない。
ルールブックやサプリメントに記載している装備群は、ルール内の用途での使用方法ならば、文句を言われる筋合いはない。“ティルヴィング”など使用方法が多岐にわたる装備は、その使用法全てを有効に使えるような作り方をするのはあながち間違ってはいない。実際批判された友人が「なんで文句言われなきゃならないのかわからん」とわたしに愚痴をこぼしたぐらいである。
「キャラのイメージを考えて作れ」とか「いろんな技能を取って横に延ばすべきだ」とか、言われたほうにとっては余計なお世話で、もともとバランスのとれないシステムで「バランス考えろ」と言うのはそれこそナンセンスの極みだと思う。
キャラクター作成のコンセプトなど人それぞれで、どの分野でも得意なのが好きという人もいれば、得意分野以外は他の人に譲ろうと言う人もいるし、経験値余ってるけど新米だから弱めに作ろうと考える人もいれば、経験値あるんだから強く作ろうと考える人もいるのである。
自分がこう作ってると言うのはいいし、自分と違う作り方をしている人のPCを見て不満に思うのも構わない。が、人のキャラクターの作り方に対して、ダメ出しして自分の考えを押し付けるのはよくないことではないだろうか。
これはあくまでキャラクター作成上での経験値の使い方に関しての考察であって、キャラクターそのもののコンセプトに対しての考察ではないというのは注意してもらいたい。
実際周りには「萌え系美少女なのに格闘が鬼のよう」とか言うキャラクターも存在するし、それを自分のキャラクターと対比して凹んでいる者もいる。が、そういったネガティブな感情は他人に対して「批判」という形で吐き出してはいけない。
そのキャラクターがそうであることを批判するよりも、自分のキャラクターをそこまで引き上げようというほうを選択すべきだろう。最初に経験値を使って作っただけであとはそのキャラクターには使わない、ということが多いFEAR系ゲームの現状から考えると、そのことでキャラクターを成長させようとするきっかけになるのならよいのではないだろうか。
経験値をどう使うかも人次第だから、そのキャラクターに迫るような「超戦闘系萌えっ子」を新たに作るでも、今あるキャラクターに経験値をつぎ込んで追いつかせるでも、自分の好みに合った方法を取って、納得すればそれでいいのではないか。
イメージやバランスばかり考えて、本人の意向を押さえつけるような批判の仕方は、双方にとってよくない結果しか生み出さないと思っている。自分のイメージに沿わないからといって批判ばかりするのではなく、こういうのもあるんだな、と妥協してみるのも協調性を見いだす一つの方法なのではないだろうか。