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TRPGについて論ずる

その10…TRPGを楽しむ

ゲームという遊びは、「遊び」であるという性質上、楽しむために作られたものである。だいたいのゲームにはルールが存在し、大抵のゲームはそのルールの中でどういったことをすれば楽しめるかを模索し、それがそのゲームの遊び方になる。

しかしながらTRPGというゲームは、他のゲームに比べて多種多様な遊び方が存在する。

ルールが存在しながらも、ルールの範疇ではないシナリオというファクターをどう作るかを楽しむゲームマスターという存在と、そのシナリオに参加して、シナリオを進めることで楽しみを見出すプレイヤーという存在に分かれることが、そもそも他のゲームとは違った部分である。

また、TRPGの遊び方・楽しみ方は、基本的にルールの範疇の外にある。シナリオを作る・シナリオをすすめる・キャラクターをロールプレイする。どれもシステムによらず共通のことだからである。ぶっちゃけシステムなぞなくてもTRPGは遊べるし、楽しめるのだ。むしろシステムは単なるシステムでしかなく、これらの要素がTRPGのルールといえよう。

ただこれは極端な例で、ルールブックがある以上はルールを絡めたシナリオ作りや、キャラクター作り、シナリオ進行などをしたほうが、より楽しめるという考え方もできる。

わたしは現在まで、本コラム内でアレはイカン、これはチョット・・・とTRPG(?)の遊び方についていろいろケチをつけてきた。わたしがこうすべきだと主張するものも含めて、TRPGの遊び方には今まで綴ってきた以上の数の遊び方があると言えよう。

で、いきなり自分の主張を覆してしまうようでアレだが、これらの遊び方はどれが正しいというモノはない。

わたしが「TRPGではない」と思っている「ストーリー志向的一本道シナリオ」も、一部の世間では立派なTRPGの一手法なのである。

その辺はわたしが何といおうと、そう信じてる人がいる限り変わらないので、それは認めざるを得ないだろう。

巷では紙媒体やネットを含め、いろいろなメディアでTRPGの手法に関する論議が提示されている。

わたしも含め、論者の中では一方を否定し、一方を肯定するという姿勢を持つ者が多い。

たしかに否定ばかりして、理解を示さずに悪いところばかり指摘するのは討論として間違っていると思うし、議論する上で全く意見がかみ合わなかった場合は、衝突の堂々めぐりを繰り返すハメになり、議論は決着しないだろう。

一方で、否定ばかりしないで受け入れるべきだ、と妥協を促す者もいる。 一方が妥協すれば、たしかに物事はスムーズに進行し、セッションは無事に終わることだろう。しかし、妥協した側の立場で考えてみると、自分はこうすれば面白いと思う、というのを覆してそう思ってない方法で遊ぶのだから、楽しいと思うはずがない。

そうなると、セッションではなく雑談やネタの話などでしか、そのプレイヤーは楽しめないだろう。

人間の考えなど千差万別で、全てが同じ考えの人間がセッション参加人数分集まるなど、万が一にもありえない。ましてやゲームを楽しむための方法が相反した同士で、思想が対立したままプレイを進めても、そのセッション自体の完成度・成功度は低いものとなるのは間違いない。

「楽しめれば技術なんかどうでもいいじゃないか」と唱える者もいるが、前述のようなことがあると、全員楽しむことはかなり難しいだろう。

確かに楽しめればロールプレイの技術や、シナリオ進行の技術などはノリなどでカバーできてしまうだろう。

自分だけなら。

他のプレイヤーやマスターも巻込んで「みんなで楽しむ」という渦の中に引き込むためには、やはりそれ相応のロールプレイやコミュニケーションなどの技術が必要なのである。

TRPGに勝敗があるとしたら、「全員楽しめたこと」イコール勝利であることにほかならない。そしてここでこそ「みんなでTRPGを楽しく遊ぶための技術」というのが必要で、それを磨く必要があるのではないだろうか?

では具体的にどうすれば、「みんなで楽しむ」ことができるのか。

前述したとおり、マスターや他プレイヤーの流儀に合わせてプレイしたのでは、自分が楽しめない。しかし、自分の流儀だけを前面に押し出してプレイするだけでは、他の不評を買うこともあるだろう。

他人の流儀に合わせ、自分の流儀を押し通すという二つのバランスを取ることでみんなが楽しくプレイできるセッションになり得るのである。

セッションの流れを見極め、他プレイヤーのプレイスタイルを知り、それでいてマスター側の流儀を崩さずに自分のプレイスタイルを前面に出す。こう言っているだけで非常に難しいことではあるが、挑んでみる価値のある障害だと、わたしは思う。

まぁぶっちゃけ、ひとりよがりのプレイをするプレイヤーや、人の意見を聞き入れないマスターは、本人の性格から考え直さないと直らない可能性はあるが、それは自分ではわかりにくいものだ。

「場の雰囲気を壊したくないから」という理由でツッコむことを避けるのなら、せめてセッション後に座談会を設けるべきだろう。「どうしたらみんなで楽しくTRPGできるのか」、雑談抜きで真剣に語り合うのも案外楽しいもんである。語り合った後のセッションでなにか変わったところが見つけられれば、それはまた「楽しいTRPG」に一歩近づけたと思っていいだろう。

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ていうか、そういうTRPG、わたしもしてみたいです。

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