メルニボネの白子の皇子、エルリックが持つ剣。形状は刀身までルーン文字がびっしりと刻まれた、黒い大剣である。
メルニボネ人は、新王国世界でも人類の頂点に君臨する超人類で、肉体的にも精神的にも普通の人間よりも秀でている。
しかしエルリックは、メルニボネの皇子でありながら超虚弱体質として生まれたため、薬に頼らなければ歩くこともままならないのだが、ストームブリンガーはそのエルリックに人並み以上の体力と膂力を与えている。
ストームブリンガーは本来、混沌の八柱神のひとりで、“剣の騎士”ともよばれるアリオッチの持ち物である。剣にはデーモンが封印されていて、あるときは使用者であるエルリックの意志とは関係なく動くことがある。
ストームブリンガーはその威力もすさまじいが、注目すべきはその特殊能力である。
ひとつは前述の使用者に生命力を与える能力、そしてもうひとつは刃を突き立てた者の生命力を吸収する能力である。ストームブリンガーは、エルリックに彼を振り回せるほどの生命力を与える代わりに、自分の望む相手に刃を突き立て、その生命力を吸い取ってきたのである。たとえそれが、エルリックの最愛の女性であっても、である。
物語の終わりに、何もかも失ったエルリックはストームブリンガーを手放すが、ストームブリンガーは最後に持ち主であったエルリックに刃を突き立てた。